先日10月30日、弊社のナイフ博物館にて大ナゴヤツアーズ様主催の
「切れ味抜群!世界に1つだけのダマスカスペティナイフづくりツアー」が開催されました。
反響につきツアー定員イッパイの7名のお客様にナイフづくり体験を行っていただきました。

 今回製作していただくのは、ダマスカス鋼材を使用したペティナイフ!
弊社ラインナップにある「空空ダマスカス」と同じ部品を使ったキットになります。
「空空ダマスカス」ではピカピカな鏡面仕上げを施していますが
今回はダマスカスならではの黒染めを体験していただきます。
(*写真撮影および掲載はお客様、大ナゴヤツアーズ様よりご承諾いただいております。)
道具類
さて、社長のあいさつは程々にして作業開始!

最初の工程は外形の研磨です。

ハンドルを組み付けたとき鋼材との境目に段差が生じますので
それをきれいに落としながら外形を整えていきます。
皆さん初めての体験ということで、回転するグラインダーに
ブレードを当てながら慎重に削り進めていました。

硬い鋼材を削り、時に火花が散ります!
しかしご安心ください。ヤケドしたりしませんよ!
グラインダー研磨
研削作業では、まずは目の荒い番手で加工し、
次に細かい番手のペーパーに交換して滑らかに仕上げます。

長時間グラインダーに当て続けるとブレードが熱を持ってしまうので、注意が必要です。

次の工程では、鋼材の刃の部分を、サテンバフを使って磨いていただきました。
サテンバフは金タワシのような見た目をしており
機械で加工したときにできる研削の目をならすことができます。
サテンバフ
全体をムラなく研磨することが黒染めを成功させるコツなので
丁寧に進めていただきたいところです。

先ほどとは違って火花は出ませんが
しっかりとブレードを持っていないとグラインダーの回転力に負けてしまいます。

頑張ってください!

ここまでの工程で、だいぶ刃物らしくなりました。
このまま刃付けをして完成!…でも良いのですが、
やはりダマスカスといえば積層模様を際立たせる黒染めがかっこいいですよね。
まず前準備を兼ねて、ブレードにインクでお絵かきします。
お絵描き
皆さん思い思いの文字や絵を描いていました。
達筆なアルファベットや、かわいいネコの足跡まで!お上手ですね。

弊社で仕入れているダマスカス鋼材は、高級鋼材VG-10を中心に
軟らかいステンレス板とニッケル合金を交互に重ねたものになります。

専用の薬剤に浸すことで
鉄を主成分とするステンレス層とVG-10鋼の表面が溶出して黒く染まり、錆びの膜を作ります。
一方でニッケル合金の層は反応せず、金属色のまま残ります。

お預かりしたブレードを10分ほど薬剤に浸し、様子を見てみましょう。
黒染め
…お、ちゃんとできてる。いい具合です。
このままでは反応が続いてしまうため、薬剤をよく洗い流して水気を切ります。

お絵描きした部分はインクでマスキングされており、金属色のまま残っています。
あらためて、ちゃんと染まっていて安心しました。

さて、次はお客様にしていただく研磨の最終工程、フェルトバフを使った艶出しです。

先ほどのサテンバフよりも柔らかく
研磨剤をフェルトに塗り付けることで、ブレードが綺麗に磨かれます。
フェルトバフ  差し替え用
黒染めしてくすんだ部分に艶が出て、美しいダマスカス模様に仕上がりました!
ハンドルを組み付けて、完成までもう少し!

次は刃付けです。
この作業は熟練の技術が必要なため、お客様に代わって社長がおこないました。
グラインダーの回転砥石でマイクロベベルを作ると、バリが出ます。

ここでお客様にバトンタッチ。
天然砥石を使った手研ぎをしてもらいます。
手研ぎ
補助器具を付けたり、慣れた方はすいすい研ぎ進め、だいたい切れる刃が付いてきました。
この時点で新聞紙を使って試し切りをしてみますが、まだ正直イマイチ…。
お客様もあまり納得いっていないご様子。
 
そこで特殊なグラインダーで残ったバリなどを完全に落とし、新聞紙に再度当ててみると…
試し切り
ビックリ!気持ちよく紙が両断されました!
皆さん目を丸くし、今日いちばんの驚きと笑顔をいただきました。

これには社長もニッコリ笑。

こびりついた研磨剤を落とし、これにて完成!
サムネ用 完成品
最後に記念写真を撮って、本日はお開きです。

至らない点も多々あったかと思いますが、楽しんでいただけたでしょうか?

 今回のようなナイフづくり体験は、大ナゴヤツアーズ様主催のもと定期的に開催しております。
気になる方はぜひ、チェックしてみてください!

集合写真



 さて話は変わりまして、来る11月15日、ホビージャパン様より
「ナイフカタログ2022」が発刊されます!


昨今のアウトドアブームもあり、ナイフ業界は大きな盛り上がりを見せています。
どのようなナイフが紹介されるのか、カタログの発売がとても楽しみです!
また、既刊の「日本の包丁2022」では
弊社の包丁を3ページに加えて、見開き&扉写真まで掲載していただきました!


包丁もナイフも、色んなメーカーさんが素敵な商品を送り出してくれています。
アウトドアやお料理ビギナーの方もコアなファンの方も、お気に入りの逸品を探してみてください!

 以上、ダマスカスペティナイフづくりツアーのレポートでした。


空空ダマスカスシリーズ

空空ペティ